「・・・クラウド?」

やっと朝日が見えてきた早朝。
誰も起こさないようにと準備をしていたのに、マリンの声で振り返る。
そこには眠そうな目を擦って一生懸命擦っているマリン。
何時も結んでいる髪を下ろしているから、一瞬誰かわからなかった。

「どうした?まだ寝てろ」
「何処、行くの・・・?」

マリンの声に不安の色が混じっている。
別に仕事で早朝に出ることなんて何度もあった。
それの何処がいけないのか。
マリンに近寄ると、同じ目線に合わせるためにしゃがむ。
すると何を思ったかマリンは俺の首に抱きついてきた。
花と、シャンプーの香りが鼻を掠める。

「クラウド、また、何処かに行くの?」
「・・・・行かない」

あぁ、そう言うことか。
マリンは、まだ俺が何も言わずに消えたことを引きずっている。
あれは悪いことをしたと思うし、もうしようとも思わない。
抱きついてくるマリンを離すと、頷いた。

「大丈夫だ。俺は帰ってくる」
「ホントに?」
「本当だ」
「じゃ、早く帰ってきてね!」
「あぁ。だからもう一度寝ろ」
「うんっ」

立ち上がって頭を撫でると、マリンは笑顔で部屋に戻っていった。
それを見送って、小さく息を吐く。
もう一度机に向かうと、その上の写真を手に取った。
セブンスヘヴンの前に、フェンリルと俺とティファとデンゼルとマリン。
何でこの写真を撮ることになったのか、よく覚えてない。

「それ、覚えてる?」
「・・・覚えてない」

ラフな格好で部屋の入り口にもたれ掛かっているであろうティファ。
振り返らず、掛けられた問いかけには素直に返す。
こんなところで意地を張ったって、あとでからかわれるのは目に見えている。

「デンゼルが一緒に暮らすことになって、一年目だよ。
でもクラウド実はこのとき熱があって、そーんな仏教面」
「あぁ」

思い出した。
確か世界が歪むくらいの高熱で、でもみんな盛り上がってて。
俺も仕事があったし、言うに言い出せなかったんだ。
写真を撮りおわったあたりでマリンに気づかれた。

「・・・仕事?」
「あぁ」
「戻ってきてね」
「マリンと同じこと言うんだな」
「ふふ、マリンも女よ?」

そんな会話をしながら、着々と準備を進める。
あらかた終わると、ティファの横を通り過ぎた。
その際、少し迷ったけど、マリンと同じように頭を撫でる。

「・・・ビックリした」
「マリンと同じなんだろ?」
「・・・・・そうね」
「夕方には帰る」
「了解。いってらっしゃい」

暖かい笑顔で送り出してくれるティファに軽く手を振る。
デンゼルとマリンの寝室を通り過ぎると、マリンも手を振っていた。
デンゼルも、眠たい目だけど軽く手を振っている。
それに(無意識に)微笑むと、同じように軽く手を振る。

・・・帰りに、何か買ってこようか。
フェンリルに跨りながら、そんなことを思った。







かなり理想のお父さんクラウドとその家族。